ヨウシュヤマゴボウを使ったアレンジメント~秋の実りのフラワーアレンジメント~
最終更新日 2022年9月11日 by mikichigusa
フラワーアレンジメントには、果実などの実ものを使うこともあります。数年前から秋になると「ヨウシュヤマゴボウ」という実が仕入先にならぶようになりました。フラワーアレンジメントでも人気の秋の実り「ヨウシュヤマゴボウ」についてご紹介します。
目次
ヨウシュヤマゴボウとは?雑草だけど人気の実もの
ヨウシュヤマゴボウ(洋種山牛蒡)
ヤマゴボウ科ヤマゴボウ属
ヨウシュヤマゴボウ。この実にそんな名前がついていたのか・・・と思うほど、私世代(アラフィフです)は幼少の頃、とても身近にあった、いわば雑草です。今でも、空き地や、コンクリートの脇から育っているヨウシュヤマゴボウを見かけることがあります。
上の画像は、2015年7月、最寄り駅に育っていたヨウシュヤマゴボウです。2m以上は育っていました。雑草とはいえ、「勝手に採ったらダメだよな~。もうちょっと熟したら駅員さんに分けてもらおうかな」と思っていたら、この後、かなりばっさり刈られてしまっていたのですす・・・。そして、今日2022年9月、久しぶりに見に行ってみると、
ありました!丈は小さくなっていたものの、実がなっていました。
ヨウシュヤマゴボウは、“ゴボウ”と名につくように、根が長く丈夫にのびます。駆除したつもりでも、根が残っていれば再生するようで、完全に駆除するには除草剤が必要になってくるようです。(だけど、この駅のは除草しないでほしいな。もうちょっと熟したら今年こそは)
ヨウシュヤマゴボウの美しい季節
幼少の頃も、現在でも雑草扱いされているヨウシュヤマゴボウ。
ただ、今やフラワーアレンジメントの世界では大人気で、初夏から秋の花材として流通します。
なぜこの雑草が花の世界で人気なのか・・・と思いつつ、使ってみたい花材だったので、今年、初めてレッスン用に仕入れました。ヨウシュヤマゴボウの魅力がかなり分かったのでご紹介いたします。
ヨウシュヤマゴボウの花
ヨウシュヤマゴボウの花は、初夏から秋にかけて咲き進みます。先にあげた写真のように、7月ごろは白っぽい花房が多いです。花は5mm程度でとても小さく、ベースは白で、ほんのりグリーンや、ピンクがかっています。茎に均等に並んで咲いていて、それが房となり、ブドウの花にも似ています。
ヨウシュヤマゴボウの実と茎
9月ごろから晩秋にかけて実は熟して、グリーンからだんだんと黒みを帯びてきます。9月半ばごろには、一つの株で白の房、グリーンの房、黒の房をみることができるでしょう。
熟した黒い実を潰すと、赤紫色の汁がでてきます。ヨウシュヤマゴボウは別名、inkberry(インクベリー)ともいわれ、果汁は染料にも使われていたようです。小さい頃、色水を作って遊んだ記憶のある方もいらっしゃるのではないでしょうか。ヨウシュヤマゴボウで作った色水は、衣服につくとなかなかとれないので気を付けてください。
また、ヨウシュヤマゴボウは有毒植物です。葉や茎、根に毒があります。実に毒はないようですが、種が有毒のようですので、食べないほうがいいです。
ヨウシュヤマゴボウの花軸と実の色合いの魅力
私が魅力的だと思ったのは、赤褐色の茎と、花のついている“花軸(かじく)”と呼ばれる部分の濃い赤紫色です。
とりわけ、花軸と実の色の相性がとても良い!
実が若く緑色の時は、花軸の色とのコントラストがとても美しいです。緑と赤は、色相では“反対色”といわれます。対照的な色の組み合わせは、個性的で、ダイナミックにもみえ、鮮やかさが際立ちます。
実が熟して黒みを帯びてきたら、艶やかというか、妖艶というか、優美というか。不思議な雰囲気を醸し出しています。ちょっとゴスロリっぽいイメージもするのではないでしょうか。
(※ゴスロリとは黒などダークな色調に、挿し色に赤や青などを使っている日本独自のファッションのこと)
自然界が作り出す色の美しさを改めて感じます。
ヨウシュヤマゴボウの魅力的な使い方・飾り方
ヨウシュヤマゴボウを花瓶、ブーケ、アレンジメントに使ってみました。それぞれ、使う前に水揚げをしています。
ヨウシュヤマゴボウの水揚げ
雑草といえば強そうなイメージがあるにもかかわらず、ヨウシュヤマゴボウは、意外と水が下がりやすいと思うので、しっかり水揚げをしてから使いましょう。
水切り(水の中で茎を斜めにきる)をし、さらに茎をタテに割ります。
また、葉の量が多いと“蒸散”といって、水分が抜けやすいので、葉を適度に整理したほうが良いです。
花瓶にいけてヨウシュヤマゴボウのナチュラル感をだす
花瓶に生けるだけでも絵になります。上の画像は、仕入れてすぐに花瓶にいれたもの。もう少し、葉を整理して活けると、もっとすっきりしたかもしれません・・・水の下がりも早かったです。葉の整理をしてから活けることをお勧めします。
茎の流れを統一したい、と思っても、ヨウシュヤマゴボウは一つの枝で、かなりあちこちを向きます。思い切って無造作に入れてみても、野性味がでて面白いでしょう。
ヨウシュヤマゴボウを使ったブーケ
レッスンで生徒さん方に使っていただき、ブーケをアレンジしていただきました。色々な方向に向くヨウシュヤマゴボウが、ワイルドな雰囲気をだしていますね!
色合わせは、花軸の色に合わせて、赤紫系の色の花材をえらびました。
野性味をもちながら優美さを兼ね備えたブーケになったのではないでしょうか。
ヨウシュヤマゴボウのアレンジメント
ブーケと同じ花材で、ヨウシュヤマゴボウを使ったアレンジメントです。イギリススタイルのホライゾンアレンジ。
仕入れたヨウシュヤマゴボウは茎の丈が約70cmと長いので、2~3か所で切り分けました。どこをどう見せたいか、どこに実をおきたいかで、切り分ける位置が決まってきます。
おわりに
幼少の頃、実を使って遊んだ記憶のあるヨウシュヤマゴボウ。大人になってから、フラワーアレンジメントの花材としてまた出会って懐かしく感じました。ヨウシュヤマゴボウは、とても絵になる花材です。もし、空き地や路地などに育っていて採取できそうなら、1本からでも花瓶にいれて秋を楽しんでみてはいかがでしょうか?(私有地などの場合は許可がいるので確認してくださいね)
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