フラワーアレンジメントに使われるバラエティー豊かなグリーンの種類と特徴

フラワーアレンジメントを習いはじめていくと、お花の他に「グリーン」と呼ばれる葉ものに興味をもたれる方も多いかもしれませんね。フラワーアレンジメントをより一層惹きたてるグリーン。今回は、定番のグリーンからハーブや針葉樹など、バラエティーにとんだグリーンを形状によって分類し、その特徴などをご紹介いたします。

フラワーアレンジメントの「グリーン」とは

フラワーアレンジメントで「グリーン」というと、「葉物(はもの・foliage)」をさします。
アレンジメントの形や用途によってグリーンを使い分けます。また、紅葉するグリーンもあり季節感も出せます。

フラワーアレンジメントの「グリーン」の役割とは?

フラワーアレンジメントで「グリーン」はオアシスを隠すだけでなく、とても大切な役割があります。

1. アレンジメントの形(骨格)をつくる

オーバル型のホリエージ

アレンジメントを作る時に、手順のはじめとして骨格をつくります。アレンジメントの骨格を作ることをイギリススタイルでは、”ホリエージをとる” ”ホリエージをつくる” といいます。このホリエージをつくるときにグリーンの役割はとても重要です。作りたいアレンジによって、グリーンの選択をします。

2. アレンジメントのイメージをつくる

グリーンにも、その季節にしか店頭に出回らないものがあり季節感が演出できます。
また、”グリーン”といっても、緑色だけでなく、カラーバリエーションが豊富な植物もあり、デザインのイメージも、ナチュラル、お洒落、シック、爽やか、など、色々なイメージを作ることができます。

3. アレンジメントの仕上げに使う

アレンジメントの仕上げ、形を整えるときにグリーンで調整します。

フラワーアレンジメントで使われるグリーンの種類

フラワーアレンジメントで使われるグリーンを、「枝もの」「葉」「ツル・ツタ」「観葉植物」と分けてみました。

枝もの(Branch)

茎の部分が木質化(もくしつか)している植物です。
大きな枝をつかったダイナミックなアレンジメントを作ることができます。
また、葉がよく茂っていたら切り分けて使う事もでき、1本から量がたくさんグリーンがとれる枝もあります。
よく使われる枝ものをあげてみます。

クリスマスリースや正月アレンジなどに使われる針葉樹

クリスマスリースを作る時に使うヒバ類や、お正月には欠かせないマツなどの針葉樹は「枝もの」と呼ばれるグリーンです。

サツマスギ
ヒノキ科ヒノキ属
ヒムロスギとも呼ばれます。モコモコした葉でボリュームをだしやすいです。
ヒバ(コヒバ)
ヒノキ科アスナロ属
葉先がすっきりしているので、サツマスギよりシャープなラインを出しやすいです。
名前が似ている「クジャクヒバ」(ヒノキ科ヒノキ属)は、ヒバより葉先が黄味がかっていて、厚みがあります。
丈の長い状態で手に入り、扱いやすいグリーンです。
ブルーアイス
ヒノキ科イトスギ属
グリーンの中でも、シルバーリーフ(白銀色)に分類されます。リースなどのアクセントになります。とても良い香りがします。
マツ
マツ科マツ属
お正月には欠かせないグリーンです。
まっすぐ上を向いた「若松(ワカマツ)」、根っこがついたままの「根引松(ネビキマツ)」、葉が5枚(5本)の「五葉松(ゴヨウマツ)」、アメリカ産の「大王松(ダイオウショウ)」などが、アレンジメントでよく使われます。

他に、モミノキ、ボールバード など

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家庭でも育てられている庭木

ご家庭の庭やベランダで育てられている庭木にも、フラワーアレンジメントに向いているものがあります。たいていのものは、1年を通して常緑で使いやすいです。木によって剪定時期があるので、実を収穫したいときは注意が必要です。

シマトネリコ

オリーブ
モクセイ科オリーブ属
艶のある細長い葉が特徴的。枝によっては湾曲しているものもあるので、まっすぐ使いたいときはワイヤーをかけるとよいです。
ユーカリ
フトモモ科ユーカリ属
ユーカリ・ポポラス、グニ・ユーカリ、ギンマルバ・ユーカリ、など形状の違う種類があります。実付のものもあります。茎が細くしなやかなので、やわらかな印象のアレンジになるでしょう。
シマトネリコ
モクセイ科トネリコ属
規則的に並んでいる小さな葉が特徴的です。やわらかな印象のアレンジになるでしょう。切り分けて使いやすく、日持ちもよいです。
ソケイ(キソケイ)
モクセイ科ソケイ属
夏頃に黄色い小さな花付きで店頭にならぶこともなります。市場では、ソケイで流通しています。葉先がシャープなので、スッキリしたアレンジができると思います。
ドウダンツツジ
ツツジ科ドウダンツツジ属
近年、切り枝がインテリアとして人気があります。春に白い花が咲き、秋には紅葉します。枝が固くしっかりしているので、縦や横幅の広がりのでるアレンジメントがつくれます。葉先がちりちりとなりやすいです。
ナンテン
メギ科ナンテン属
お正月のアレンジメントに縁起物として使います。赤い実だけでなく、葉もアレンジに使えます。緑色のものと、赤系のものがあります。

他に、ブルーベリー、ヒイラギ、ツゲ など

ほぼ周年出荷されている枝もの

一年を通して、花屋さんによくならぶグリーンです。

キイチゴを使ったブーケ

マルバルスカス

キジカクシ科ルスカス属
かなり日持ちが良く、使い勝手のよいグリーンです。3,4カ月は緑色の状態を保ちます。茎はやや固め。
ルスカスには、イタリアンルスカス(笹葉ルスカス・キジカクシ科ダナエ属)という品種もあります。

キイチゴ

バラ科キイチゴ属
春の緑色の葉は清々しく、秋の紅葉した葉も季節感が出せます。
アレンジにも使いやすく、枝だけでシンプルに花瓶に活けるのもおすすめです。
北海道産の”ベビーハンズ”という品種が使いやすいです。
ピットスポラム
トベラ科ピットスポラム属
緑色の葉と、斑入りの葉があります。とくに斑入りのものは、ウェディングのブーケによく使われます。古いものは葉が落ちやすいので注意です。
レモンリーフ
ツツジ科シラタマノキ属
レモンの葉に似ています。長いままでも、短くカットしても使えてアレンジには重宝します。

他に レザーファン など

花としても使われる枝もの

ラインの花としても使われる植物の中で、グリーンとして扱われる枝ものもあります。花が咲く前や、花が終わった後のものがグリーンとして扱われます。

ギンヨウアカシヤ(ミモザ)
マメ科アカシヤ属
2~3月頃には黄色い花がついて店頭にならび、リースやスワッグアレンジに大人気です。
11~12月にかけて葉のみの枝が出回ります。
ユキヤナギ
バラ科シモツケ属
春には白い花が流れるように咲きます。
夏の葉のみの状態も爽やかです。
柔らかなラインのでるアレンジメントになるでしょう。
コデマリ
バラ科シモツケ属
白い小さな花がつきます。春のイメージ。のびのびとした、柔らかなラインがでます。
ヒメリョウブ(コバノズイナ)
ユキノシタ科ズイナ属
5月頃に白い花が咲きます。夏には清涼感たっぷりのアレンジメントができます。
“リョウブ”と花屋さんに並ぶこともありますが、山中にあるリョウブとは種類が違います。

他に レンギョウ など

葉(Leaf)

比較的、丈が短くて柔らかい植物です。
アレンジメントによく使われる、特徴的なものをあげてみます。

ハーブをアレンジメントに使う

長さのとれるハーブは、アレンジメントにいれることができます。アレンジの最中は、ハーブの香りがして癒し効果が増します。
また、花が終わった後も残っていることが多いので、土に挿しておくと育てやすい種類のハーブもあります。
切り花として売られているハーブの中には、アレンジ用や観賞用のみに作られているものもあります。料理など食用に使う時は確認注意のうえ使用してください。

下の画像は、ローズゼラニュウム、丸葉のゼラニューム、レモンバームでホリエージをとっています。
ハーブ類は、オアシスに挿しても日持ちがよく、アレンジメントに使うグリーンとして適しています。

 

カラーリーフ

グリーンは、緑色だけではないのです!
白、銀、赤、斑入り、など特徴的な葉の色をしていて、アレンジにエッジを利かせたり、魅力的な演出ができます。特に、銀白色の葉は”シルバーリーフ”と呼ばれ、フワフワした柔らかい印象のアレンジメントになります。

ダスティーミラーを使ったブーケ

ダスティーミラー(シロタエギク)
キク科セナキオ(セネキオ)属
シルバー系の代表です。葉に切れ込みがあるものや、ないものなどがあります。日持ちもよく、アレンジにもつかいやすいです。アレンジのあと、挿し木すると増えやすいです。
セント―レア
キク科ヤグルマギク属
シルバー系。ダスティーミラーによく似ていますが、種類がちがいます。ダスティーミラーより、葉の幅がスマートです。
ラムズイヤー
シソ科スタキス属
シルバーグレー系。まさにウサギの耳のように柔らかい質感です。柔らかいため、ホリエージとしては使いにくいかもしれませんが、アレンジの間に挟むととても優しいイメージになります。

他に、
・ヒューケラ・・・赤、黄色、赤紫、斑入り、緑 など
・ゲイラックス・・赤、緑系
・スモークツリー・・緑、赤銅、など

>>>シルバーリーフを使ったアレンジメント~冬のアレンジメントを華やかに~

ツル・ツタ植物(Vine)

動きのあるアレンジメントをつくるときに効果的なグリーンは、ツルやツタの長い葉ものです。また、キャスケードブーケのような縦に長いアレンジメントを作るときにも用いられます。

リキュウソウ
ビャクブ科ビャクブ属
茎がしっかりしているので、ホリエージにも使えます。葉先がツル状で、くるんとなってものは、アレンジの遊びに使いやすいです。優雅な雰囲気をだしやすいので、ウェディングにもよく使われます。1年を通して入手できます。
スマイラックス
ユリ科アスパラガス属
明るい緑色で、とても優雅で華やかな雰囲気を出せるグリーンです。ウェディングによく使われます。茎がほそく柔らかいので、うまく使いにくい時はワイヤーをかけるといいでしょう。
アイビー
ウコギ科ヘデラ属
ツタの代表格といえばアイビーです。グリーンの濃いもの、淡いもの、斑入りのもの、葉の形が丸いもの、大きいもの、切れ込みが深いもの、などたくさんの品種があります。茎がしっかりしているものは、ホリエージにもつかえます。ウェディングブーケに使う時は、とてもナチュラルな雰囲気になるでしょう。

他に、グリーンネックレス など

フラワーアレンジメントに使える観葉植物

アレンジに使われる観葉植物もあります。

ドラセナをいれた花束

ドラセナ
キジカクシ科ドラセナ属
葉が広がるので、花束を作る時にボリュームをだせます。一枚づつ取り外してアレンジに使うこともできます。緑色の他に、赤紫系のもの、葉が細長いものなど品種も多様です。
モンステラ
サトイモ科モンステラ属
肉厚で濃い緑色。葉の面積が大きいので、大きなアレンジを作る時に適しています。南国のイメージになるでしょう。
ポリシャス
ウコギ科タイワンモミジ属
切り花として出回るのは、葉が丸みを帯びていてフリル状のものです。ラウンドアレンジなどの丸みを帯びたアレンジメントを作ると優しい雰囲気がだせるでしょう。

他に、クッカバラ、アレカヤシ など

おわりに

フラワーアレンジメントによく使われるグリーンとその特徴をご紹介しました。
グリーンを効果的に使うことで、アレンジメントのデザインの幅も増えてくると思います。
色々なグリーンに出会う事も、フラワーアレンジメントの楽しみの一つになれば嬉しいです。

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